どんな状況でも変わらず花は咲く。
椿も桜もこんなに綺麗に咲いた。

みっしり隙間なく。そうしてコップに注ぐ水が溢れ出るように、はらはら花びらを落とす。その様を飽かずに眺めていたい。
椿は、花ごと落ちる。落ちてなお、絵になる花。

西行法師の辞世の句「願わくは花の下にて春死なむ。そのきさらぎの望月のころ」
桜の禍禍しいほどの美しさは、どこか死を連想させる。
そして桜は、人を詩人か哲学者に変える。