夏休みも終わろうかというのに、何なんだ。この暑さは。
まだまだ暑い日が続くというし、うんざりだなあ。
暑さに耐えきれずというわけでもないのかもしれないけど、先日母方の祖母が亡くなった。誕生日が来たら96歳という年女の年だった。
自宅で家族に看取られ、安らかな最期だったそうだ。
戦争で夫を亡くし、30歳にして3人の子供を抱え、必死で生きて来たのだ。婚家には、舅姑はもちろん大姑までいたけど、そこで子供を大きくするしかなかった。今よりもっと、戦後子供を抱えた女がひとり生きていくことは、相当な困難だったに違いない。
祖母には失礼だけど、女としては、何もいいことがなかったように見えた人生だった。
その祖母が、常々家族に、「死んだら棺に入れてくれ」と言っていたものがあった。それは夫から最後に届いた手紙だった。
棺に入れる前に見せてもらったけど、茶色く変色した便せんにびっしり何か達筆に書き綴ってあった。おそらくそれは、妻に宛てた遺書。
それを時折取り出しては見ていたという。
うんと若いころに亡くなった祖父。手紙を持って彼岸を渡った祖母を見分けられたのだろうか。
今の私に自分の棺に入れてほしいものってあったかなあ〜としみじみ考えてしまった。生きているときは絶対的にお金は大事なのだが、死んで逝くときはそれこそプライスレス。胸が暖かくなる思い出があればきっといいのだ。